6次産業化、ゼリー「伝兵衛」とお米「神子原米」

北陸は他県の人が羨むくらい自然と食べ物が豊かな地域です。昨年能登半島は、国連食糧農業機関が認定する「世界農業遺産」に、新潟県佐渡市とともに国内では初めて登録されました。今も続いていますが、昨年から仕事で能登半島の各地に行くことが多くなっています。そのたびに、能登半島の里山・里海は、自然と食べ物が豊かであることを実感します。食べ物について言えば、最近では能登島で味わった今旬の「アオリイカ」、「糸もずく」、能登野菜として有名な「五郎島金時さつまいも」、挙げれば切がないほど多くの美味しい食べ物があります。

 能登半島にある羽咋市の棚田でで作られているお米「神子原米」。福井市の森八大名閣が製造販売しているミディトマト「越のルビー」を丸ごと1個いれて作ったゼリー「伝兵衛」。ともにブランド化に成功し売上を伸ばした事例として、先日、日本経済新聞の北陸経済版に紹介されていました。「神子原米」のブランド化について記事から引用すると、「羽咋市の職員が知名度向上の取り組みとして、ローマ法王庁の大使館に米を持参し、手紙を書いてローマ法王への献上への了承を取り付けた。一躍、ローム法王への献上したお米、神子原米として大きな話題となった。それ以来、神子原米への人気は続き、売上も伸びている」。一方ゼリー「伝兵衛」、「商品を紹介したテレビ番組の影響力は大きかったが、福井ならではのお土産を探していた県民のニーズにもぴったりあったのではないか(森八大名閣 森雅信社長談)」。


 農林水産省では、雇用と所得を確保し、若者や子供も集落に定住できる社会を構築するため、農林漁業生産と加工・販売の一体化や、地域資源を活用した新たな産業の創出を促進するなど、農山漁村の6次産業化を推進しています。平成22年度から農水省でも推進している一つのキーワードとなっている農業の「第6次産業化」。「第6次産業化」とは、農業が農産物を生産するだけでなく、それを加工し販売するところまで視野に入れた事業展開をすることにより、農業者が多くの利益に関われる仕組みを作ろうという考え方です。農業=第一次産業の「1」と、加工=第二次産業の「2」と、流通=第三次産業の「3」の数字を使って、1+2+3=6で第6次産業というようです。


 美しい自然を維持し、そこで美味しい食べ物を作り加工して提供する。私たちにとって美味しい食べ物が提供されるためには、農漁業の安定経営が欠かせません。国の第6次産業化施策でも言っているように、安定経営のためには、前提として、農漁業に携わる人の所得がしっかり確保され、雇用が守られことです。6次産業化においては、作ること、加工すること、流通させること、の順に難しくなってきます。作って加工したものを流通させなければ、農漁業の安定経営はありません。流通のポイントは、モノのブランド化です。法王へ献上した米「「神子原米」と「越のルビー」を丸ごと1個入れて作ったゼリー「伝兵衛」には、6次産業化の大きなヒントがあるような気がします。6次産業化は日本にとって、美味しいものを食べたい私たちにとって、大事な施策です。