必要は努力を牽引する

「人は事実だけでは心を動かしてくれない。事実の裏にある感情や欲求を引き出し、共感し、やる気になってもらう」。先日受講したジョブ・カード・コンサルタント講習で学んだことです。私は日々、経営者として、ITコーディネータとして、様々な判断をしています。判断の根拠としているのは、私の周りにいる人たちの言動によってもたらされる事実です。裏に隠された人の感情や欲求に気づかず、表に現れた事実のみに注目して物事を判断すると決して良い結果はもたらされない。講習では、事実の裏にある感情や欲求の大切さを実感しました。


 平成20年、国は非正規労働者の正社員化を促進させる目的で「ジョブ・カード制度」を創設しました。このジョブ・カード制度において、求職の相談に対し、ジョブ・カードを活用したキャリア・コンサルティングを行う人をキャリア・コンサルタントと言います。このキャリア・コンサルタントもそうですが、一般的に人から相談を受けてカウンセリングを行う人はカウンセラーとも呼ばれます。カウンセラーが備えるべき基本的なことは数多くあります。傾聴する、共感・支持をする、明確化する、気づかせる等です。明確化するとは、相手の話を整理し、適切な言葉におきかえることにより、相談者がまだ気づいていない感情・気持ち・欲求を明確化することです。


 ハーマンモデルとは、米国GE社(ジェネラルエレクトリック社)のネッド・ハーマンにより開発された、人間の思考パターンを類型化した脳の4象限モデルです。脳を「右脳・左脳」に分け、さらに、左右それぞれを「大脳新皮質・辺縁皮質」に分け、脳の機能を4象限に分けて説明しています。4象限(A象限、B象限、C象限、D象限)の特徴は以下のとおりです。

 A象限(大脳新皮質/左脳)⇒ 論理的、数量的分析が得意

 B象限(辺縁皮質/左脳) ⇒ 計画的、順序立てた実行が得意

 C象限(辺縁皮質/右脳) ⇒ 感覚的、他人の感情を汲み取ることが得意

 D象限(大脳新皮質/右脳)⇒ 革新的、新しいものを生み出すことが得意 

 

 この講習を受講し、あらためて私のハーマンモデル・プロフイールを簡易版で確認してみました。プロフイールは固定的なものではありません。その人の性格が基本になりますが、これまで積み上げてきた生き方や職業経験、目標に向かって行った努力の結果によって変わってきます。若い時のものと、人生経験を積んだその後とを比較して変化の少ない人は「俺、全然進歩していない人!」なのです。キャリア・コンサルタントに求められる基本を考えながら、私のプロフイールを眺めてみました。もう少し、C及びD型の思考を伸ばさないといけない。必要は努力を牽引する。数年後にもう一度ハーマンモデル・プロフイールを確認してみよう。C及びD型の思考が伸びていることを信じて。