若者の雇用が奪われる・・・

 NHKが65歳で定年退職した元気な中高年にとったアンケート。今最もやりたいことは何ですか、の問いに対し、まだ働きたいというのがもっとも多かったということです。しかし、現実は仕事がない。一方で、「若者が就職できない、若者の雇用が奪われている」。日経新聞は今週、若者の雇用実態を特集していました。えー、意外だなと思いつつ記事を読むと、納得することがあります。そういうことだったのかと。

 

 日経は若者の雇用実態と課題を次のように書いています。

  • 学校を出た24歳以下の10人に1人が失業し、2人はアルバイトなど不安定な仕事に就いている。
  • 就職を希望しながら卒業時に就職が決まっていない人は、2011年春に7万5千人となり、3年で倍増した。15歳~34歳の約170万人が正社員を希望しながら非正規労働を余儀なくされている。
  • 日本はいつの間にか若者に仕事を与えられない国になってしまった。明日を担う若者に仕事と希望を見つけることは、すべての国民に突きつけられた課題だ。

 

 私の会社では、これまで毎年、県や国から委託をうけて離職者のための訓練を実施しています。受講者の年齢は20代から50代まで幅広く、訓練内容は主にITスキルの習得です。この離職者訓練制度では、訓練中および訓練を終えてからの求職活動において、就職の支援を行うことが義務付けられています。若者ほど早く就職が決まり、40歳を超えると年齢の壁が大きく、なかなか就職が難しいのが現実です。

  

 若者が、終身雇用という日本的雇用慣行に守られた中高年者と「椅子を奪い合う」勝負に負け、「若者が就職できない、若者の雇用が奪われている」現象が起きているということです。ますます高齢化が進み、年金支給年齢の引き揚げとともに定年延長や雇用継続が企業に義務化される中で、中高年世代の雇用と高い賃金が守られる代償として、若年世代の雇用(賃金)が犠牲を強いられているのです。職に就けない若者が増えれば、年金の原資はどこに求めるのだろうか。厳しいのは求職だけでなく、社会保障もそれ以上に厳しくなっていく。消費税10%では追いつかない社会問題ではないだろうか。